経済効率の高い炭素削減に向けて:プラスチックサプライチェーンのグリーン化バイオ材と     リサイクル材の適所活用とより効果的なプラスチックリサイクル

「地球に長生きしてもらう」をPurposeに掲げるSotas株式会社(所在地:神奈川県川崎市、代表取締役社長:吉元 裕樹、以下「当社」)は、この度、九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I²CNER:アイスナー)との共同研究論文が発表されたことをお知らせします。

九州大学のアンドリューチャップマン准教授(I2CNER:カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所)とSotas株式会社は共同研究にて、既存の炭素削減政策に代わる競争力のある選択肢として、日本のケミカルサプライチェーンのグリーン化の提案を行いました。

本研究では、コスト・炭素削減のポテンシャル、品質、リサイクル性などの複数の基準を用いて、リサイクルプラスチックやバイオプラスチックへのシフトによる炭素削減コストの調査を行いました。その結果、品質に関するメーカーや消費者のニーズや認識が重要であること、また、評価基準の重み付けによって異なる結果が得られることが明らかになりました。

日本では、回収されたプラスチックの70%以上がサーマルリサイクル(熱回収)されており、その多くは商品の過剰包装に由来しています。こういった現状から、増え続ける二酸化炭素排出原の削減余地があります。さらに、一部の消費者は環境効果の高い製品に対して、割高な対価を支払う意思があることが分かり、慎重に政策を見直すことで、消費者のニーズを満たすと同時に、プラスチックメーカーはカーボンニュートラルを含む国家目標の達成に貢献することが可能となることを示唆しています。

本研究成果は国際誌「Sustainability」に2023年9月4日に掲載されました。

研究者からひとこと:

Andrew Chapman…日本におけるプラスチックリサイクルの現状と、バージン材と比較した際にリサイクル材とバイオ材がなぜ活用されてこなかったのかに疑問を呈し、その障壁を明らかにした上で、バージン材の代替品選択決定ツールの開発を、Sotasシステムを活用して行えないかという所から本研究を開始。今後更なる研究を重ね、より実用の場を拡大するものとする。

  • 研究の背景と経緯

日本におけるプラスチックリサイクルの70%は、サーマルリサイクル(熱回収)されているのが現状です。リサイクル材とバイオ材の活用が鍵であるととらえ、Chapman研究室の専門分野であるエネルギーシステムに係る「社会的公平性の定量化」研究を、Sotas株式会社の持つSotasシステムにかけ合わせ、化学産業において、サプライチェーン全体を変革し、資源循環型社会の実現を中小企業から進めていくというプラスチックリサイクルや脱炭素を加速することを目的とした研究です。

プラスチック業界の持続可能性を検討した際、大きな流れの変革が必要という点において双方の見解が一致したことにより、今回の合同プロジェクトに至りました。

  • 研究の内容と成果

化学業界におけるSotas株式会社の持つ既存のインベントリデータを活用し、収益性とカーボンニュートラルの関係性を明らかにするものであり、ETS(排出量取引)や補助金の比較研究を行い、バージン材の代替品選択決定ツールの開発を行いました。

  • 今後の展開

今回開発を行ったバージン材の代替品選択決定ツールやデータの活用をさらに進め、バイオ材やリサイクル材のトレーサビリティを可能にし、カーボンニュートラル達成と共に、現在のサーマルリサイクルに依存している日本のプラスチックリサイクルをより持続可能で効果的なものにしていきたいと考えています。

  • 参考図

  • 用語解説

(※1) LCIA…ライフサイクルインベントリ分析の結果を用いて、潜在的な環境影響の重要性を評価することをいいます。

  • 謝辞

本研究はSotas株式会社の助成を受けたものです。

  • 論文情報

掲載誌:Sustainability

タイトル:Toward Economically Efficient Carbon Reduction: Contrasting Greening

Plastic Supply Chains with Alternative Energy Policy Approaches

DOI:10.3390/su151713229